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学部長・研究科長メッセージ

工学部長工学研究科長 坂口大作
工学部長/工学研究科長
坂口 大作

「心躍る瞬間」をともに

 研究を長年行っていると「心躍る瞬間」に出くわすことがあります。この「瞬間」はめったに起こってくれる訳でなく、数年もしくは十数年に一度の割合でしか起こりません。しかし、「心躍る瞬間」では、朝早く目が覚め、研究室へ急いで入り、実験装置を検証し、プログラムをコーディングし、帰宅する時間も忘れてしまいそうになります。誰も知らなかったことが、自分が立てた仮説通りに証明できたとき、「心が躍る」瞬間がやってきます。他の研究者が知らない、自分しか知らないことが、自分の手で確認できた瞬間です。一度でもこの瞬間を味わうと、もう研究がやめられなくなります。「心躍る瞬間」を味わうために、数年かけてコツコツと仕込みを行い、新しい知識を身に着け、新しい実験方法や解析方法を考えます。いつも実験がうまくいく訳ではなく、心が折れそうになることも多くあります。でも、「心躍る瞬間」をまた味わいたくて、研究を続けているようなものです。

 最近は、沢山の情報が比較的簡単に手に入り、高機能な計測装置や高速なコンピュータも、購入することができます。しかし、買い物で得たデータや知見は、他の誰もが手に入れることができる情報でしかありません。他の研究者が得ることができなかったデータを得るためには、装置を工夫し、独自のコードをコンピュータに実装しなければなりません。世の中で分かっていること、分かっていないことを整理し、研究計画をたてて独創性のあるデータがとれるように工夫します。そのために、高い専門的知識が必要です。誰よりも深い観察力、洞察力で現象を理解できる知識が必要です。さらに、他の研究者が行っていない独創性を高めるためには、異分野からの知識が必要です。工学の中での物理系、化学系の知識融合もありますし、工学系の研究者が、環境工学や水産・海洋の知識を持てば、これまでにないイノベーションが生まれます。これからの研究者やエンジニアには、高い専門性と幅広知識の両方の習得が求められます。

 長崎大学では、地球の健康を守る「プラネタリーヘルス」というスローガンのもと活動しています。「心躍る瞬間」が新しい知見を生み出し、地球規模での住みよい社会づくりに貢献することができます。大学では高い専門性と幅広い知識を修得し、「心躍る瞬間」をともに味わい、「プラネタリーヘルス」を実現していきましょう。